台風の被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申しあげます。
台風は過ぎましたが、地盤が緩んでいるうえにまた新たな雨が降る予報です。
まだまだ油断できない状況が続きます。
日本は災害大国で、台風に限らずいつ地震や火災などの災難が襲ってくるかわかりません。
そんなときにがん治療中だったらどうしたら良いのでしょう。
またがん患者を抱える家族としてどう対処して良いのでしょうか。
災害時にがん治療中だった場合の注意点や対処法などを書きたいと思います。
がん治療中、災害が起こる前の注意
がん治療中に欠かせないもの、それは薬です。もし薬を持ち出せなくても、「おくすり手帳」があればその時に自分に必要な薬のデータがわかります。
携帯電話に薬の写真や処方箋を保存しておいたり、二重に記録しておくと安心です。
また、必要な薬は常に手元にあるよう、日ごろから少し多めに出してもらうようにしましょう。
用意した方が良いもの
地震などいつ来るかわからないものに備え、これらのものはバラバラにせず、手近にまとめてバッグに入れてれておくと、いざというときに探さずにすぐに持ち出せます。
- 薬
- お薬手帳(防災型のお薬手帳もあります)
- 病名のメモ
- 抗がん剤を受けた日のメモ
- 血液検査結果のメモ
- 治療経過のメモ
- 医療機関のメモ
- 連絡先のメモ
- 保険証
周囲の人の協力
これから災害が起きそうなことが予測される場合は、市町村や保健所など公的機関に情報提供をしておきましょう。
抗がん剤で身体が思うように動けない場合は、周囲の人の助けを求めましょう。場合によっては一時的に親戚や知人宅に避難することも考えられます。
がん治療中、災害時の注意
災害時は、自宅待機と避難所に移動した場合とが考えられます。
自宅待機の注意点
自宅にいることが知られていないと取り残される心配があります。
自宅待機であっても、避難所の責任者や医療従事者、健康・衛生管理の担当に伝えておくようにしましょう。
様々なサポートを受けやすくなるので、一言伝えておくと良いです。
避難所の注意点
自分の病名、病状や治療内容を避難所の責任者や医療従事者、健康・衛生管理の担当に必ず伝えます。また、避難所は閉鎖空間のため風邪やインフルエンザなどの空気感染も予想されますので、感染しないよう気を付けましょう。
がん治療中、災害が終わってからの注意
がん治療中は通常時と違って抵抗力が弱くなっていたり、体調面での心配もあります。
瓦礫の撤去や、ヘドロ除去、清掃などはしてはいけません。
健常者と同じような行動はできないものと思って、自信の体調維持を優先しましょう。
感染症にならないように
避難所では感染予防を心がけましょう。
マスクは着用し、うがいや手洗い、口内炎予防に歯磨きはできればしたいものですが、なければ布やティッシュでふき取るだけでもしたいものです。
脱水や血栓予防
エコノミークラス症候群(静脈血栓症特に肺血栓塞栓症)は生命に危機が及ぶことがあるので予防が重要です。
できるだけ十分な水分を摂りましょう。避難所はトイレに行きにくい環境が多かったりするので、トイレの回数を減らすケースがあるのですが、脱水や便秘になりやすいので水分は摂るようにしましょう。
がんがあると血栓症になりやすいので、血栓症にならないように、足が動くようなストレッチや軽い運動を小まめにするようにしましょう。
ふくらはぎのマッサージや3〜5分ほど歩くのも効果があります。
ふくらはぎや、膝の裏、腿の周辺が痛くなったり、赤く腫れたりした際には、すぐに医療機関で受診してください。
すぐに受診した方が良い場合
- 38℃の発熱が1時間以上続く
- 発熱とともに寒気や汗出る
- 傷口、手術痕、カテーテルなどの挿入部分、皮膚や性器や肛門周囲の炎症
- 下痢や嘔吐
- 今までなかった痛み
- 排尿時の痛みや血尿、尿の異常
- 激しい頭痛、首のこわばり、意識があいまいになる
- 副鼻腔・喉などの痛み、口内炎、咳
抗がん剤の治療の中断はたいていのがんの場合、1~2週間程度遅れても、病状が進行することはありません。
ただし白血病など血液に関係した腫瘍、胚細胞腫瘍、その他の特殊な腫瘍では、治療を継続して行う必要があります。飲み薬の抗がん剤は、手元に薬があって服用方法が分かっている場合は、体調が普段と変わりなければ服用を続けましょう。