人工乳房(インプラント)による乳房再建について

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人工乳房(インプラント)による乳房再建について人工物(インプラント)を用いる再建
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乳がん手術により失った乳房に膨らみを持たせるのに乳房再建術があります。

乳房再建の方法としては「人工物(インプラント)を用いる再建」か、自分の自分のお腹や背中の皮膚を用いる「自家組織による再建」か、「人工物と自家組織の併用」もあります。

  • 人工物(インプラント)を用いる再建
  • 自家組織による再建
  • 人工物と自家組織の併用

それについては過去にざっくりこちらに書きましたので、良かったらご覧ください。

乳房再建について
大まかに言って、乳房再建の方法は2種類あります。それは「自分の身体の一部を切り取って胸に移植する方法」と「人工乳房を胸に挿入する方法」です。また、どちらか一つのこともありますが、併用することもあります。それぞれメリットとデメリットがあります。

それぞれ一長一短があるし、人によって向き不向きもあるようです。
あと、大きな声では言えませんが、お医者さんの技量で左右されるので、よくよく調べてからやってもらった方がいいですよ。

人工乳房(インプラント)による乳房再建について

アラガン社製人工乳房(インプラント)の代替

自家組織を用いた再建は健康保険適応でしたが、人工物(インプラント)を用いる再建かつては保険が効かなかったために100万円以上の費用を負担しなければなりませんでした

高価だった人工乳房ですが、2013年にやっと日本でも人工物(インプラント)による乳房再建が健康保険でできることになりました。

ただ、この健康保険を用いたブレスト・インプラントによる乳房再建は、アラガン社のティッシュエキスパンダーとインプラントのみ認可というもので、選択肢は限られていました。

※通常はエキスパンダー(組織拡張器)という水の入った袋を挿入して皮膚を引き延ばし、8ヶ月後に入れ替え、さらに乳頭の再建、乳輪の入れ墨と、乳がんの手術を含めれば4回の手術と1回の入れ墨が必要です+

それでも乳がん体験者はほっとした気持ちでした。
「健康保険でできるなんて!」

ところが2019、ショッキングなニュースが報じられました。

頻度は多くはないものの、リンパ腫と呼ばれる病気がアラガン社の表面の性状がザラザラ(テクスチャードタイプといいます)した商品で引き起こされるという報告がされたのです。

こともあろうか、頼りの綱だったそのアラガン社製人工乳房(インプラント)での回収騒ぎになりました。

一番困ったのは、すでにティッシュエキスパンダーが入っていて、インプラントの手術を待機されていた方々です。

1.アラガン社の他の商品(これもまた他のリスクあり)で再建を行うか、2.自家組織で再建を行うか、3.自費診療で他社の商品を用いて再建を行うか、4.そのままエキスパンダーを挿入したまま待機するか。

この選択肢を選ぶしかありませんでした。

ティッシュエキスパンダーとは
乳房を風船のようなもので胸の皮膚を膨らませて、皮膚を伸ばすもの。皮膚が十分伸ばしてやっとインプラントと入れ替えることが可能になります。

その後2020年8月20日、アラガン社の替わりに米国シエントラ社のシリコンインプラントが薬事承認され、10月1日から保険適用になりました。

出荷停止となったアラガン社製品の代替品として、スムーズタイプ(表面がつるつるの性状)のティッシュエキスパンダー(133S ティッシュエキスパンダー)とインプラント(Inspira シリーズ)が 2019 年 10 月 8 日に認可されました(国内販売元:アラガンジャパン社)。

また、2020 年 8 月 20 日にシエントラ社のスムーズタイプのインプラントとマイクロテクスチャードタイプ(表面の性状がザラザラで凸凹が浅く表面積が小さいタイプ)のインプラントが認可されました(国内販売元:メディカルユーアンドエイ社)。

いずれも米国・カナダで現在流通している製品です。

乳房再建用ティッシュエキスパンダー ナトレル 133S (アラガン社)

スムーズタイプ(表面がつるつる)、アナトミカル型(しずく型)、注入ポートが内包されています。スリップしやすいため、位置を固定するためのタブがついています。

 乳房インプラント

1.スムーズタイプのインプラント


全てラウンド型(おわん型)です。スムーズタイプのインプラントは BIA-ALCL のリスクは限りなく低くなります。
アラガン社の Inspira シリーズとシエントラ社の Sientra ブレストインプラントがあります。
日本人の一般的な乳房と形状が異なること、破損や被膜拘縮等の合併症に注意が必要です。従来のラウンド型インプラントと比べてやや硬めで皺ができにくいゲルが選択できるようになりました。

2.マイクロテクスチャードのインプラント


シエントラ社のラウンド型(おわん型)とアナトミカル型(しずく型)のインプラントがあります。
アナトミカル型(しずく型)の形の方が自然な感じになるのですが、術後に胸の中で回転してしまっておかしな形になることもあります。

アナトミカルとラウンド型、どちらに向いているかは乳輪乳頭の位置で判断します。健側の乳輪乳頭の位置が真ん中にある人はラウンド型、真ん中より下にある人はアナトミカル型が向いているようですよ。

人工乳房(インプラント)による再建に向く人、向かない人

人工乳房(インプラント)による乳房再建について

人口乳房に向く乳房

人口乳房に向く乳房は、おわん型の形をしてある程度のボリュームのある人です。
薬事承認されたインプラントは米国やカナダのものなので、どちらかというと大きいサイズの方が種類が豊富というのが理由です。

スポーツをして活発な人は人工乳房の方が向いています。

反対に人口乳房に向かない乳房

反対に人口乳房に向かない乳房は、あまりに小さかったり、裏側に手が入るほど垂れている乳房で、二次再建のときに形が取りづらいそうです。

人工物による再建のメリット・デメリット

人工物による再建のメリットは新たな傷ができないことがあります。

自家組織を使う再建はお腹や背中の組織を持ってくるために、乳がん以外の傷が身体にできてしまいます。
一方、インプラントを用いる再建では自家組織を使わないため、乳がん手術の際の傷以外に新たな傷を作ることがなく、またドナー部の合併症を考える必要がないというメリットがあると言えます。

ただ、再建された乳房は硬く、露出や感染のリスクがあり、感染に弱いデメリットもあります。なので十数年で入れ替えを考えなくてはいけないことも。

最近はお腹やおしりた太ももの脂肪を注入するのと併用する技術もあるので、より美しい形に仕上がるそうです。

インプラントの入れ替え

インプラントの入れ替え

私が一番気になったのはインプラントって入れ替えするの?ということでした。

インプラントの破損や合併症の発見のために最低10年の定期的な診察と、2年に 1度の画像検査、さらに挿入期間が10年を越えたインプラントについては入れ替えることを推奨しています。

ですが、入れ替えなければいけないわけではないということです。

インプラントの入れ替えを検討するポイントとしては次のことがあります。

1.インプラントの破損

現在、乳房再建に使われているインプラントはお菓子のグミのような素材で、切っても中身が流れ出てくることはない安全性の高いものなので急に体に影響が出るものではないですが、破損していたという例はあります。

2.健側乳房の下垂、縮小

健側乳房が加齢によって大きく垂れてしまった人、またホルモン療法を長期間にわたり行ったため、健側乳房が萎んできてしまった人は、再建側の乳房とバランスが取れず、見た目に問題が出てくる場合も。インプラントを入れ替えて、左右のバランスを整えるという方法があります。

3.被膜拘縮

被膜とは体に異物が入った時、体を守るためにできるものです。
乳房のインプラントに被膜ができると硬くなったり変形したりという事態が起こります。

このような時にインプラントの入れ替えをするそうです。

人工乳房(インプラント)による乳房再建まとめ

人工乳房(インプラント)による乳房再建についてのお話でした。
乳がんによって失われた乳房を取り戻す手術。

乳房再建は自分の選択で行うものです。
ぜひ専門医と納得のいくまで話し合ってみて、自分に一番あった乳房再建をみつけてくださいね。

 

出典:株式会社メディカルユーアンドエイ

 

ひばり
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