これを読んでくださっているあなたは朝型ですか? 夜型ですか?
当然なことですが、夜型の生活は身体に良くはありません。
人間は昼行性にできているため、夜型生活は不自然な生活サイクルのため、あらゆる禍の元になります。
夜型生活は乳がん発症リスクを上げます。
逆の言い方をすれば、昼型生活は乳がんの発症リスクを下げるということです。
英国のブリストル大学が、英国人女性37万人超のデータを解析して出された研究結果があります。
概日リズムが朝型の女性は夜型の女性に比べて、乳がん発症リスクが低いことが確かめられました。
概日リズムが朝型の女性では、夜型の女性に比べ、乳がんリスクが低下していたそうです。
睡眠時間と乳がんリスク
では睡眠時間についてはどうでしょう?
睡眠時間が増加するとメラトニンという睡眠時に分泌されるホルモンの分泌時間が長くなり、このメラトニンが性ホルモンの分泌を抑制すると言われています。
このメラトニン分泌と関連して、性ホルモン関連がん(特に乳がん)の罹患リスクが、夜勤者・交代制勤務者では高まる事が大崎国保コホート研究で報告されております。
宮城県の40-79 歳の国民健康保険の加入者の女性約 2 万 8000 人を対象にしたアンケートで、睡眠時間と乳がん罹患リスクについて、睡眠時間を、6時間以下、7時間、8時間、8時間以上の4グループに分けて調べました。
3年以内に乳がんにかかったハザード比はつぎの結果になりました。
- 6時間以下 1.67%
- 7時間 1.00%
- 8時間 0.99%
- 8時間以上 0.29%
睡眠時間が6時間以下の場合、乳がんになる率が一番多く、それに比べ9時間以上の睡眠だと1/6近くにリスクが減ります。
乳がんになりたくないなら、いっぱい寝ましょう! ということですね。
ちなみに、私は乳がん経験者ですが、睡眠時間は6時間以内、夜型です。
そりゃ乳がんになるでしょう、ということですね!
※乳がんは睡眠時間以外にも飲酒の習慣や肥満などいろいろ影響しますので、睡眠だけではないのですが。
睡眠とメラトニン
メラトニンという睡眠をうながすホルモンがあります。
睡眠リズムが狂うと、傷んだ細胞を修復する働きなどをする成長ホルモンの分泌が乱れ、睡眠の質を高めるメラトニンの分泌も悪くなります。
メラトニンの分泌は一般的に、深夜1時~2時にピークになるのですが、その時間に光を浴びるとメラトニンが十分に分泌されなくなるおそれがあるそうです。
メラトニンの影響は身体機能全体に及びますが、女性ホルモンのエストロゲンを調節する働きもあると考えられています。
メラトニンが十分に分泌されないと、エストロゲンが増え、乳がんの危険性が増す可能性があるそうです。
睡眠とストレスの関係
なぜ睡眠が大切なのか。
人は一日何らかのストレスにさらされて生きています。
ストレスのない状態というのはないですよね。暑い寒いなどの気温のストレス、仕事や人間関係、騒音、経済情勢の変化など私達の周りには、ストレスの原因となるものがたくさんあります。
そんな一日一日のストレスを解消するのが「睡眠」です。
一日働いた脳と身体を、睡眠によって休め、記憶を整理し、身体をリセットするのが睡眠です。
睡眠を十分にとらないでいると、脳の機能が低下してストレスに弱くなり、また集中力がなくなって日常生活にも支障が生じてしまいます。
睡眠時間を極端に少なくすると脳の働きが乱れてしまい、自律神経やホルモンのバランスも乱れ、心身に不調をきたします。もともとストレスと戦うためのホルモン(副腎皮質ホルモン)は、朝に最も多く分泌され、昼間から夜にかけて次第に少なくなり、深夜には最低になります。
このような生体リズムを考えると、夜遅くまで起きていることは、自らストレスに弱い体を作っているようなものです。
乳がんは睡眠時間が作れない年齢に多い
乳がんは若い人もなりますが、多いのは40~50歳代の女性です。
この世代の女性は家事や子育て、仕事などで忙しく、睡眠不足に陥りがちです。
乳がんは、夜間勤務や夜間に光を浴びる生活で1~2割高くなるという報告もありますので、やはり睡眠は関係がありそうです。
もっともやってしまいがちなのが、スマホやパソコンを寝る直前まで使って、思いっきりブルーライトを浴びてしまうというもの。
ブルーライトの刺激を受けると、脳は「朝だ」と判断し、メラトニンの分泌が抑制され覚醒してしまうので、夜寝る前はスマホやパソコンはやめておいた方が賢明です。
(と、いうことは、朝にスマホやパソコンでブルーライトを浴びれば目が覚めるのかなと思ったら、ブルーライトは太陽の中にも含まれているのでした。したがって目を覚ましたいなら普通に太陽を見れば良いだけでした。なーんだ。)
ホルモン療法と睡眠
乳がんの治療で、ホルモン療法というものがあります。
決まった期間、女性ホルモンを抑える薬を飲むというものですが、それによって更年期障害のような症状が出ます。
ホルモン療法の影響で眠れない、良い睡眠を得られないという睡眠に関する症状も出ることもあります。
もし、ホルモン療法で不眠症状が出たら、掛かりつけ病院の医師や看護師、緩和ケアチームのスタッフなどに相談してみてください。
睡眠薬や睡眠薬や気分を安定させる薬を処方してもらったり、カウンセリングで改善されることもあるようです。
理想的な睡眠とは
では、次に理想的な睡眠について考えてみたいと思います。
日本人の睡眠時間は欧米諸国と比べると短く、特に女性ではその傾向が顕著に表れているというデータがあります。
また、厚生労働省のデータによると、現在、日本人の5人に1人は、睡眠時に何らかの障害を抱えているとされています。
総務省の調査では、日本人の全年齢の平均睡眠時間は女性が7時間36分だそうです。
世界的に見たら少ない方ですが、私は案外寝ているんだなぁ、という印象でした。
私は睡眠時間はだいたい6時間くらいなので、ちょっと少ないですね。
年齢によっても睡眠時間に差があります。年齢が上がるにつれ睡眠時間は減っていく傾向があります。
さらにだんだん眠りが浅くなり、思うようにぐっすり眠れない傾向が強くなるようです。
また、季節によっても睡眠時間は変化します。秋から冬にかけて日が短くなるときに睡眠時間は長くなり、春から夏にかけて短くなることからも日照時間と深く関わっていることがうかがえます。
最も日の短い12月から1月に睡眠は長くなりやすく、6月から7月の初夏に最も短くなることが分かっています。
より良い睡眠を得るために
良い睡眠を得るには、ずばり「良い生活サイクルを作る」に尽きます。
人間には体内時計があり、それが1日の24時間とずれているため睡眠にも影響が出るといわれています。体内時計は24.5時間とも24.2時間ともいわれてきましたが、最新の研究では24時間11分と発表されています。
この11分のズレってなんであるんでしょうね?
なぜあるのかわかりませんが、とにかくこの11分のずれを調整するための努力がより良い睡眠のために必要です。
それは朝起きたらお日様の光を浴びること。前述のメラトニンの分泌を促すというわけです。(お医者様は朝の散歩をすすめています)
あとはこんなことに注意すると良い睡眠に効果的なので、取り入れて見てください。
- 運動は寝る2時間前までに行う
- 食事は床に就く3時間以上前にすませる
- 入浴は就寝の90分前に入浴をすませる
- 寝具は身体に合ったものを
- パジャマは木綿、厚着は避ける
最近は自然な目覚めを促す、高機能の目覚まし時計があるそうなので探してみてはいかがでしょうか。
私は使ったことがないのでわかりませんが、睡眠時間や寝付きにかかった時間、夜中の寝返りも計測して起きやすいタイミングで起こしてくれる目覚まし時計だとか。
<まとめ>
今回は睡眠と乳がんの関係をお話しました。
- 8時間以上の睡眠時間で乳がんリスクが減る
- 睡眠リズムが狂う乳がんリスクが上がる
- 乳がんは睡眠時間が作れない年齢に多い
- ホルモン療法で睡眠に影響があることがある
- より良い睡眠を得るためには良い生活サイクルを作るのが大切
睡眠には「脳や身体の休養」「疲労回復」「免疫機能の増加」「記憶の固定」「感情整理」など多くの重要な役割があります。
私を含め、乳がんを予防したい方は毎日の睡眠を大切にしていきたいものですね。