いつもパン屋さんの前を通るときに思うことがあります。
それは私の抗がん剤治療中はパンにずいぶん助けられたことです。
というのも、抗がん剤治療中は味覚が変わってしまって、普段美味しいものが美味しく感じなくなったり、味そのものがしなかったりしたからです。
今回は抗がん剤治療中に食欲不振や味覚障害のときの食べ物について書いてみたいと思います。
抗がん剤治療中の味覚障害
私が使用した抗がん剤はドセタキセル(T)とシクロホスファミド(C)、両方の頭文字からTC療法と呼びます。
抗がん剤の副作用の味覚障害
このTC療法の副作用として味覚障害が出ます。
醤油が苦く感じたり、味がまったくしなくなったり・・・
味が変わるのはせいぜい5日間くらいなんですけど、それでも人間、食べ物が美味しくないとかなり凹みます。
生きることは食べることと実感するものです。
だってほぼ全部の食べ物が美味しく感じないのです。
本来私はご飯当なので白いご飯が美味しくないと何を食べて良いのかわかりません。
ひじきの煮物がまるで輪ゴム、さつま揚げがケシゴムのようだったのを覚えています。
梅干しまでも無味。すっぱくもなんともなくてただのベロベロした物体という感じ。
パンに助けられた
そんなときに助けられたのはパンです。
入院中にかなりの人たちが朝昼晩とパンを食べていて(私の病院はご飯とパンを自由に選ぶことができます)、「まあ、日本のご飯も変わったのねえ」と思っていたのですが、それが勘違いだったことが判明しました。
味覚が変なとき、食欲が出ないとき、軽い吐き気でむかむかがあるときはパンの方が食べやすいのです。
お醤油が激マズ
私の場合はただの茹でただけの大根とか、豆腐とか、そもそも味のしないものが逆に美味しく食べられました。
和食の方がさっぱりしてよさそうな気がしますが、お醤油味がとにかく心底不味く感じるのでありがたくなく、洋風のおかずの方がよかったです。
私は普段は和食が好きな方なのに本当に不思議。
人によって味が濃いものが食べやすいことも
ただ、人によってはカレーライスなど味の濃いものの方が食べやすかったりするようです。
ただ刺激が強いと口内炎がある方には向かないかもしれません。
何も食べられないときは甘酒が栄養的にも高いので良いです。
最近では自分で作らなくても手軽に飲めるようにできている甘酒がスーパーなどで売ってますよね。
抗がん剤治療中 食べない方が良いもの
病院で食べない方が良いと指導されるのはお刺身などの生もの。
あとは特に何を食べても良いということでした。
ネットで読むとカキなどはやめた方がよいけど、お刺身は大丈夫と書いてあるものもありますが、抵抗力が落ちているので万が一のことがあったら困るので、私は生の魚介類はおろか生の野菜も食べないようにしておきました。
あとはお酒。
私はお酒は好きなのですが、抗がん剤で肝臓に負担をかけているときに、お酒でさらに負担をかけるのはどうかなということでアルコールは自主的にやめてました。
ただ調子が良い週の週末に「ビール缶1本はOK」とマイルールで飲んでました。
抗がん剤治療中 食欲がないときは
最近知ったのですが、病気で食べたくないときは食べない方が良いそうですね。(知らなかったわ・・・)
よく「何も食べないと身体に毒だから」と、無理して食べてましたが、あれは逆なんだそうです。
身体の具合が悪いところを直そうと血がそっちに行って頑張ってるのに、ものを食べると胃に血が行ってしまい、悪いところが手薄になってしまうのです。
なので具合が悪くて食欲がないときは食べないのもありなのですって。
それで少し食欲が出始めたら消化の良いものから少量ずつ食べるのが良いそうです。
これは風邪などの病気のときもそうです。
抗がん剤治療中 吐き気のあるとき
吐き気のあるときに、特に吐いてしまったあと水をがぶ飲みするのはNG。
特に吐いた後は水を飲むことにより吐き気を引き起こすので飲むのは危険。(飲んでたわ・・・)
1~2時間たってからおちょこ1杯程度から始めて、様子を見ると良いそうです。
抗がん剤治療中の食べ物 まとめ
味覚が変わる体験は今にして思うと面白い体験でした。
食べ物が不味いだけであんなに不幸せな気持ちになれるのも、抗がん剤治療がなかったら体験できなかったことです。
おかげで全ての治療が終わった今「食べ物が美味しい」ただそれだけで幸せと思うことができます。
これを言うと主人に変だと言われるのですが、抗がん剤というものを人生1回くらいしてもどういうものかを知るために悪くないかもと思っています。
1度くらいはこんなにいろいろ身体の不調が体験できるのは面白いかもしれません。
もちろん2回3回は嫌ですけどね・・・