今回は乳がん手術の体験記を書いてみたいと思います。
どうぞお付き合いくださいませ。
こんなこと不謹慎かもしれませんが、生まれて初めての入院はちょっとした旅行気分でした。我ながらおめでたい。
日程はたったの5泊6日だけ、乳がんの手術って短いんですね。
乳がん入院:初日
乳がんの摘出手術で都内某病院に入院しました。
初日は特に何もすることがなく、手術の方針説明と病歴を聞かれたり書類にサインしたりです。
生まれて初めての病院食
初めて食べるわくわくの病院食は想像以上に見た目は地味でした。
不味い不味いと言われる病院食ですが、私的には十分美味しく頂けました。
ご飯はけっこう美味しかったけど、おかずの量は少なかった。
40代後半の1日のカロリーってこんなに少ないんですね。
そりゃいつも食べ過ぎで痩せないわけだと実感しました。
献立:
魚のホイル蒸し、もやしの和え物、リンゴ1切れ、味噌汁
ご飯はかなり多くて、小丼のようなプラスチックのお茶碗に軽く1膳
茶色いお茶
乳がん入院:2日め 風呂
食事と、脈拍を測るのと、トイレの回数を聞かれるので1日が終わりました。
読みたかった本を持ち込んだけれど、気が散って全然頭に入らず。
初日に入れなかった風呂にやっと入れました。
風呂は予約制で日中しか入れません。
乳がん入院:3日め いよいよ手術!
この日は朝昼晩で食事抜き。
午前中、アイソトープ(放射性同位元素)というものを乳房に注射します。
これは転移があるリンパ節を探すためのもので、もし転移があれば青く染まるのです。
その注射がものすご~く痛い! 涙が出るほど痛い注射です。
ほぼ検査でしたマンモトームと似てました。
生まれて初めての点滴
その後病室に戻って、食事を抜いているのでそれを補う何かの点滴をしました。
そうそう、これは私にとって生まれて初めての点滴です。
点滴というものをしてみたかったのでなぜか嬉しい。
気が付いたら終わってた手術
午後2時ごろ手術着に着替えて手術室に向かいます。
手術着の下は裸ですので、ノーパンでエレベータに乗りました。
貴重な体験です。
手術室は、ドラマでしか見たことがないいくつもの〇がある天井の照明と、幅の狭いベッドがありました。
全身麻酔の注射はあっというまに効き、次の意識はワープしてもう術後でした。
ぐっすり寝たという実感は全然なく、ワープしちゃうんですね全身麻酔って。
手術中の記憶がないので、実感はまるでなし。
痛くもかゆくもなし。
本当に手術したの?という感想でした。
目覚めた直後
目覚めた直後に呼吸器の管を抜きます。
医師が「はい、抜きますからね、力を抜いて」と声をかけてするするっと抜きます。
そのあとはずっと喉が痛かったです。
病室に戻ると夫が待っていてくれたのですが、喉が痛いのとまだ麻酔で朦朧としていたのであまり話せませんでした。
乳がん手術
私がやった手術は乳房切除術(全摘術)といって、乳房を全部切り取る手術です。
乳がんのしこりを中心に木の葉の形に切り抜き、切り口を縫い合わせます。
それに加えてリンパ節転移の有無も調べるので脇の下も開けたそうです。
でもいまだにどうやって「開けた」のかよくわかってません。
センチネルリンパ節に転移あり
手術時間はトータルで2時間くらいで、あっという間に終わりました。
乳がんの場合、内臓の手術とは違って、出っ張った部分を切除するので比較的楽ちんです。
アイソトープの結果、センチネルリンパ節に転移がありましたのでそれと、あとはそこと繋がってる脇の下のリンパ節を切除(リンパ節郭清)しました。
その日はベッドから動けず、トイレにも行けないので尿道カテーテルです。
乳がん入院:4日め 傷口を見た
尿道カテーテルも抜き、その後待ちに待った朝食ですが全然食べられませんでした。
半分は残しちゃいました。お腹は空いていたのに不思議。
傷口はグロかった
この日、初めて傷口を見せてもらいました。
確かに私の乳房は消えてなくなってました!
事前にネットでいろいろな方の写真をみていたので、やっぱりこうなるんだ~と単純な感想。
手術直後はさらに内出血であざのようになっていたので、フランケンシュタインが殴られたようなイメージでしょうか。
事前に知っていたので特に失望も悲しみもなかったのですが、私が鼻をかんでいるのを看護師さんが心配して声をかけてくれました。
私は鼻が悪いのでよく鼻をかむ癖があるのですが、ショックで泣いているのだと心配したのでしょう。
誤解させてしまってすいません。
肩甲骨が凝って痛かった
肩甲骨のとこがものすごーく凝って、背中のツボ押し棒が欲しかったです。
病院のパンフレットに入院時に必要なものリストが書いてありましたが、それにツボ押し棒を加えてほしかった。
もう帰れると言われたけど
アメリカでは乳がんの手術は日帰りなんだそうです。
なんならもう帰る?と担当医は言いましたが、さすがにその勇気は出ず「もうちょっと居ます」と返事をしました。
夜中に寝ぼけて体液を出すドレーンチューブのとこを爪で掻いてしまい、看護師さんに叱られました。
乳がん入院:5日め シャワー
入院中はなんとなくうっすら汗をかいていたので、拭くだけでは物足りず、お風呂に入りたかったです。
やっとシャワーの許可が出たので喜んでシャワー。
胸には大きな絆創膏が張ってあるので水からガードできます。
あとはこの日は何もなし、本当に今日帰れたかも。
乳がん入院:6日め 退院
朝に、リンパ節を切除したために今後出るかもしれないリンパ浮腫についての説明を受けました。
リンパドレナージュというマッサージ方法、生活の中で浮腫みに気を付ける注意など。
その時は「私はならないもん」と根拠のない自信を持って聞き流していましたが、その後5年経ってやっぱりやってきたリンパ浮腫。
それについてはまた別に説明するつもりです。
片側だけになったので、今後着けるブラジャーの指導もありました。
これもいろいろあるので、詳しいことは後日改めて書きます。
こんなかんじであっけなく終わった私の乳がん摘出の手術体験でしたとさ、めでたしめでたし。
乳がん手術後
心配していた術後の傷の痛みですが、手術後に抗生物質と痛み止めが打たれていたので、まったくの無痛です。
ぜんぜん痛くない
カッターで指先を切るだけで痛いのに、あんなにバッサリ切って微塵も痛くないのですね。
今の医学では痛みは我慢しない方向で対処するのだとか。
2日後と退院後は錠剤の痛み止め(たしかロキソニン)を飲みましたので、これまた全く無痛。
どのくらいの期間飲んだっけ? たしか5日くらいは飲んだような。
乳房の傷跡
私の場合、全摘術でしたので、乳房は横一列12cmばっさりなくなりました。
傷跡は、手術直後の皮膚はアザのように紫色なので余計にインパクトがあり、かなりグロテスクな印象でした。
傷口は溶ける糸と接着剤でふさがれていてキレイにつながっていました。
接着剤はお風呂に入ったり、衣服で擦れたりして放っておけば自然に落ちます。
残念なことはこの時はキレイだった傷なのですが、6年経った今はちょっと傷口が盛り上がって目立つようになってしまったこと。
私だけなのかどうなのかわかりません。
水抜き
手術したあとは水がたまるので、定期的に病院に行き注射器で溜まった水(リンパ液)を抜き取ります。
水が溜まると無くなった胸が復活してるように見えるくらいに膨れました。
「あら、元にもどってる?」
ちょっとうれしくなりましたが、そんなことはなく、指で押すと水風船みたいにタプタプしてます。
手術したあとは皮膚がぶよぶよで隙間ができていて、そこに水が溜まります。
その隙間にスポンジのようなものが形成され、隙間が埋まっていくのだそうです。
だいたい5日おきくらいで何回か通いました。
乳がん手術後の後遺症いろいろ
乳がん術後は腕が全然上がりませんでした。
胸の手術なのに腕が上がらないんで不思議でした。
私の手術は筋肉を切るわけではなく、出っぱった乳房部分を切るだけなのになんででしょうね?
腕が上がらない
この腕が上がらないのはいわゆる「術後後遺症」というもので次第に治ります。
私の場合、始めは45度くらいの角度しか上げられません。
脇の下の筋が緊張してそれ以上上がるのを止めているかんじです。
それでも病院で教えていただいたリハビリをしたり、近所の公園に散歩して腕を動かすようにしたり、少しずつ可動域を増やすようにしていきました。
うろ覚えですがだいたい1ヶ月くらいでしょうか、ちゃんと元の通り万歳ができるまで上がるようになりました。
その他の後遺症
私の場合、胸と上腕の下側とワキにしびれが残っていて、それはずいぶん続きました。
あれから6年経った今、しびれは消えましたが、皮膚の感覚はマヒしてます。
神経を切っているため、戻らないようです。
けれどこれは特に生活で困らないので気にはなりません。
慣れます。
※写真はイメージです
リンパ浮腫
脇の下のリンパ節を郭清しているために、私の右腕はリンパの流れがせきとめられて、むくみやすい状態になってしまいます。
手術直後にいったんむくんで、その後何年も何もなしだったので安心していたのですが、5年後にやっぱりリンパ浮腫になってしまいました。
リンパ浮腫はリンパドレナージュというマッサージと、弾性スリーブと弾性グローブによる圧迫療法で対処しています。