乳がんと遺伝の関係

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乳がんと遺伝の関係遺伝性乳がん
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乳がんは遺伝する病気として知られていますが、すべての乳がんが遺伝するというわけではなく、7%から10%の乳がんが遺伝性と言われています。

つまり乳がんを発症した人の5~10%は、遺伝的に乳がんを発症しやすい体質をもっているということになります。

親・子・姉妹の中に乳がん患者さんがいる女性は、いない女性に比べて2倍以上乳がんになりやすいことがわかりました。
また、祖母・孫・おば・姪に乳がんの患者さんがいる女性は、いない女性に比べておおよそ1.5倍の乳がん発症リスクがあることもわかっています。

加えて、この遺伝を持ってる人は卵巣がんにもなりやすいリスクを持っています。

乳がんを発症した人の5~10%は、遺伝的に乳がんを発症しやすい体質をもっている

遺伝性乳がんとは何か

そもそも遺伝性乳がんとは何かをご説明します。

私たちの身体の細胞の中にあるDNAは、毎日何等かの刺激、例えば紫外線や化学物質などいろんなものに傷つけられているんだそうです。

けれどちゃんと修復機能があるので、DNAが細胞ががん化しないでいられています。
この修復に重要な働きに関わってるのが「BRCA遺伝子」と呼ばれる遺伝子です。

ところがこのBRCA遺伝子に病的な差異があると、正常に働かなくなります。
そのことにより、傷ついたDNAが修復されず「がん化」されるということになります。

BRCA遺伝子に病的な差異があると、正常に働かなくなります。

遺伝性乳がん BRCA遺伝子はどう遺伝するのか

このBRCA遺伝子の情報は、性別に関係なく遺伝します。

その確率はかなり高くて、なんと性別に関係なく親から子へ50%の確率で受け継がれると言われています。

BRCA遺伝子の情報は、性別に関係なく遺伝します。

BRCA遺伝子に病的な差異がある情報が受け継がれた人は、乳がん・卵巣がん・前立腺がんにかかるリスクが一般的な人より高くなります。

どこくらいの確率かというと こちらの表の確率です。
かなり高リスクだと思いません?

一般的な日本人BRCA1遺伝子差異BRCA2遺伝子差異
乳がんにかかるリスク生涯で9%70歳までに57%70歳までに49%
卵巣がんにかかるリスク生涯で1%70歳までに40%70歳までに18%
前立腺がんにかかるリスク生涯で9%70歳までに25%70歳までに~15%

遺伝性乳がんかどうかを調べる

遺伝性乳がんかどうかを、今の医学ではそれを調べることができます。

遺伝性乳がんの情報を知っておくことは大切で、自分の乳がんが遺伝性であると診断された場合、血縁者にもがんを発症しやすい体質が遺伝している可能性があることがわかります。

この血縁者は、今後適切ながん検診を受けることで、乳がんの早期発見・早期治療に結び付けることができます。

乳がんをすでに発症している人は反対側の乳房の診察を含めより詳しく術後の検診を行うことが可能になります。

乳がんの遺伝するかを調べる検査(BRCA遺伝子の変異があるかを調べる)は、女優のアンジェリーナジョリーが調べたことでニュースになりました。

アンジェリーナ・ジョリーは検査の結果、BRCA遺伝子変異のキャリアで乳癌と卵巣癌の強い家族歴があるため、予防的に両乳房切除手術を行いました。
(日本でも予防的に乳房切除の健康保険を適用すべきか検討し始めています。)

アンジェリーナ・ジョリーは検査の結果、BRCA遺伝子変異のキャリアで乳癌と卵巣癌の強い家族歴があるため、予防的に両乳房切除手術を行いました。

現時点では一般的にBRCA遺伝子を調べる検査は、がん細胞の増殖に関わる分子(タンパク質)に対して働く薬(分子標的薬)を使うかどうかを判断するために行うことが多いようです。

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遺伝性乳がん BRCA遺伝子の検査

BRCA遺伝子の検査はどんなものかを調べると、採血でした。
ちょっとちくっとするのを我慢すれば済むだけなので、わりと楽ですよね。

その摂った血液の中の細胞のBRCA遺伝子に、病的な差異があるかないかを調べるのです。
検査の結果が出るまでには約3週間かかるので、その間ちょっとだけ待つことになります。

遺伝性乳がん BRCA遺伝子の検査

検査結果の分類

BRCA遺伝子の検査結果は5段階に分類されます。
1と2が陽性、3が不明、4と5が陰性です。

  1. 病的変異
  2. 病的変異の疑い
  3. 遺伝子多型の可能性
  4. 遺伝子多型

検査によって変わること

この検査は今後の治療方針が変わる検査です。

検査結果によりBRCA遺伝子に病的な差異がなければ、あるいは区別がつかなければ普通の抗がん剤の治療を行いますが、BRCA遺伝子に病的な差異があれば、抗がん剤の治療に加えて分子標的薬が加わり治療選択枝が広がります。

そのため、BRCA遺伝子検査は重要な検査と言えます。

検査結果が陽性だった場合は、遺伝に関する専門家にさらに相談することもできます。

遺伝性乳がんを調べた方が良い場合

遺伝子検査を受けるかどうかは患者さんの自由意思に基づいて決定されますので、遺伝子検査が強制されることはありません。

気になる費用ですが、現状では健康保険の適用対象になっておらず、一般的な検査よりも高額です。

最後にどんな時に調べた方が良いかの目安を書きます。
当てはまる方は、金額や必要性も含めて主治医に相談してみることをお勧めいたします。

・若年発症乳がん(50歳以下が目安。浸潤性(しんじゅんせい)および非浸潤性乳管がんを含む)
・トリプルネガティブ(ER陰性,PgR陰性,HER2陰性)乳がん
・‌同一患者における2つの原発乳がん(両側性あるいは同側の明らかに別の複数の原発がんを含む)
・年齢にかかわらず以下の乳がん患者
  1)50歳以下の乳がんに罹患(りかん)した近親者(第1~3度近親者)が1人以上
  2)上皮性卵巣がんに罹患した近親者が1人以上
  3)乳がんおよび/あるいは膵(すい)がんの近親者が2人以上
・乳がんと以下の1つ以上の悪性疾患(特に若年発症)を併発している家族がいる乳がん患者:膵がん,前立腺がん,肉腫,副腎皮質がん,脳腫瘍,子宮内膜がん,白血病/リンパ腫,甲状腺がん,皮膚症状,大頭症,消化管の過誤腫,びまん性胃がん
・卵巣がん/卵管がん/原発性腹膜がん
・男性乳がん

出典:
乳がんと遺伝の関係 日本乳がん学会
BRCA1/2遺伝子について アストラゼネガ