私の場合、検査をした個人病院からの紹介で大学病院に移りました。
そのときにいくつかの病院を提案されて、結局は「知ってる病院」ということだけで、親が診てもらっていた病院にしました。
どの病院にしたら良いか、よくわからないこともあると思いますので、今回は、病院に選び方について何を基準に選んだら良いかを書いてみたいと思います。
病院選びの基準
乳がんは他の病気と比べて、病院との付き合いが長くなります。
乳がんの治療は、検査・手術・放射線療法・薬物療法治療期間も長期になりますし、ゆっくり進行するタイプだと10年は定期健診に通うことになります。
他の病気と違って、医師と患者の付き合いは長めですので、はじめから信頼のいく病院を選ぶことは大切です。我慢することはしに、わからない点どんどん質問して、納得のいく治療をしてもらえる病院を探してください。
手術件数や症例件数を確認
病院のホームページを見ると、症例数・手術数・診療実績などと書かれているページがあります。それを見ることで一つの判断目安を得ることができます。
近頃は、手術や放射線療法や薬物療法は病院で行い、その後の経過観察は地域にある乳腺クリニックで診てもらう地域医療の連携も増えているようです。
ホームページやパンフレットをよく確認してみましょう。
通院しやすいか
家や、職場から近いかどうかも判断基準になるでしょう。
放射線療法は1日1日、週5日、5週間と長丁場なので、病院に通いやすいことは重要ポイントとなります。
抗がん剤も、昔と違って日帰りで通いながらすることが多いので、仕事の合間に抗がん剤、職場に戻って仕事を続けることもできます。
治療が進むと、身体がだるくなったり貧血気味になることもありますので、通いやすさは大切です。
チーム医療はしっかりしているか
乳がんの治療は多くの医療従事者がチームを組んで患者を支えてくれます。
乳腺科外科医・主要内科医・放射線科医・整形外科医・心療内科医・看護師・薬剤師・栄養士・放射線技師・医療ソーシャルワーカー・理学療法士など。
これをチーム医療と良びますが、これがしっかりしているも選ぶポイントです。
看護師さんとは相性が良さそうか
医師だと緊張してしまってうまく話せないことがあります。その点、看護師さんは聞き上手ですので、すごく話しやすい方が多いです。もちろん、人間同士ですので相性はありますが、治療や病気の不安、治療方針や、治療の副作用のこと、気楽に話せるのは看護師さんです。
日本看護協会が認定している「乳がん看護認定看護師」という資格を持った看護師さんがいたら心強いです。この資格は乳がん治療に関する高い技術と治療を持った看護師さんに与えられる資格です。
医師選びチェックしたいこと
「人柄の良い藪医者」と、「人柄は最低でも腕の良い医者」のどちらを選びますか?
私個人は人柄だけで判断するのは違うと思っています。
ただ、インフォームドコンセント(説明と同意)が重視される時代、説明と納得のいく医療が重視されています。
納得のいく気持ちの良い医療を受けるために、医師を選ぶうえでいくつかのポイントを書き出してみたいと思います。もちろん全てではありませんが、判断基準のヒントになればと思います。
- 患者の話をちゃんと聞いてくれるか
- 説明は患者に伝わるようにわかりやすくしてくれるか
- 患者の希望する治療法に耳を傾けてくれるか
- できないことはキチンと理由を教えてくれるか
- 自分の生活環境や将来の心配について聞いてくれるか
- 必要なら専門医を紹介してもらえるか
- 看護師や他のスタッフとの雰囲気はよさそうか
地域がん医療連携拠点病院を探す
全国、どこに住んでいても質の高いがん医療が受けられるよう、国が指定したのが「地域がん診療連携拠点病院」です。
全国にがん診療連携拠点病院を405箇所(都道府県がん診療連携拠点病院51箇所、地域がん診療連携拠点病院(高度型)51箇所、地域がん診療連携拠点病院298箇所、地域がん診療連携拠点病院(特例型)2箇所、特定領域がん診療連携拠点病院1箇所、国立がん研究センター2箇所)、地域がん診療病院を46箇所、指定しています(令和3年4月1日現在)。
がん診療連携拠点病院では、標準治療を始めとする様々な治療、セカンドオピニオン、緩和医療など専門的ながん治療を受けることができます。
また地域のがん診療医との連携や、がん患者に対する相談支援なども行っています。
他の病院の医師の意見も聞きたい セカンドオピニオン
検査結果や診断に疑問があったり、他の専門医の意見を聞いてみたいときはセカンドオピニオンを受けてみるのも一つの方法です。
(主治医による診断と治療方針に納得できたのなら、必ずしもセカンドオピニオンを求める必要はありません)
主治医が第一、第二としての他の意見となるもので、決して違う病院に移るためだったり、主治医を変えるための方法ではありません。
日本人は「主治医に悪い」と躊躇する傾向にありますが、そんなことはありません。それどころか、申出ればセカンドオピニオンの病院を紹介してくれることもあります。
主治医には「セカンドオピニオンを受けたい」という意志を伝えます。その際、必要な資料は貸してもらいます。
主治医に黙ってセカンドオピニオンを受けることはよくありません。
間違えてはいけないのは、ほかの病院に移るということではありません。セカンドオピニオンで主治医と違う角度で検討することができたなら、もとの主治医に再受診します。
他の病院に移るというのはただの乗り換えです。自分の気に入った見立てをしてくれる病院に渡り歩く人がいますがそれを「ドクターショッピング」というそうですが、良い結果をもたらすものなら良いですが、無意味なドクターショッピングは避けるべきです。
けれども他の病院でなければ納得のいく治療が得られないというのであれば、他の病院を選択することもあります。もその場合は「乗り換え」ということです。この場合は医師の反応は、人によるところがありますが、あまり良いものではないと考えても良いでしょう。
セカンドオピニオンで他の病院の意見を聞こう!
がんのように大きな病気だと、特に医師から丁寧な説明をしてもらっても簡単に治療を進めれれない方もおられるかもしれません。
納得して治療を進めるには、別の専門医にも意見を求める「セカンドオピニオン」をお勧めいたします。
セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンは英語で「第二の意見」です。
第一は主治医のよる意見、第二が主治医以外による意見ということで「セカンドオピニオン」ということになります。
医師に対する無礼と思わなくて良い
どうしても「主治医に悪い」と気にしてセカンドオピニオンを躊躇する傾向がありますが、そんなことはありません。
セカンドオピニオンは他の病院に移るためのものでもなく、主治医を変えるための方法ではなく、あくまでも「最良の治療法を受けるためのもの」です。
もし、自分や家族から担当医に言い出しにくい場合は、がん相談支援センターや、担当医以外の医療スタッフ(看護師や受け付けスタッフなど)に相談することもできます。
内緒で受けてはいけない
中には主治医に申し訳ないと気にして、黙ってセカンドオピニオンを受ける人もいますが、これはよくありません。
キチンと「セカンドオピニオンを受けたい」と申し出てから受けることが大切です。
医師はセカンドオピニオンに理解があるので、一つ返事で了解してくれるはずですし、医師の方からセカンドオピニオンの病院を紹介してくれることもあります。
しなくても良いししても良い
セカンドオピニオンは必ずしなければいけないというものではありません。
主治医による説明で納得できたのであれば、必ずしもセカンドオピニオンを受ける必要はありません。
ちなみに、私はセカンドオピニオンは受けませんでした。
検査結果や診断に疑問があったり、納得できない場合や医師が提案した手術や治療方針に疑問がある場合は、他の医師の意見を聞いてみるのも良いということです。
セカンドオピニオンは自分の気に入った見立てをしてくれる医師を探すことではありません。自分が気にいるまで病院から病院へ渡り歩くことを「ドクターショッピング」と言いますが無意味です。主治医とセカンドオピニオンの意見が同じような内容であれば、その治療を受け入れて治療に入りましょう。
セカンドオピニオンの流れ
1.主治医にセカンドオピニオンをすることを伝える。
主治医の意見(ファーストオピニオン)を聞き、よく理解する。
診断についてどのような検査を行ったのか、どのような検査結果に基づき、どのような治療法を提示しているのかなど。
そのうえでセカンドオピニオンをすることを伝えます。
(例:治療についてであれば、診断名、病状、進行度、推奨される治療法とその理由など)
自分の気持ちを整理するために、文章に書き出してみるといいですよ。
以下は例です。
- セカンドオピニオンをなぜ聞きたいのか
- 疑問に思うことは何か
- どんな不安があるのか
しっかりと話し合うことで、結果的に迷いや懸念が解消し、担当医との信頼関係が深まったり、しっかりと話し合うことで、結果的に迷いや懸念が解消し、担当医との信頼関係が深まったり、セカンドオピニオンを聞かないという選択に至ったりすることもあります。を聞かないという選択に至ったりすることもあります。
また、病気の性質によっては早急に治療を開始した方が良い場合もあります。
2.セカンドオピニオンを受ける病院を決める
インターネット、患者団体、周りの人から聞いたりいろいろです。また、主治医が病院を紹介してくれることもあります。
3.主治医に紹介状などを書いてもらう
現在の主治医にセカンドオピニオンを受ける病院のことを伝え、紹介状などを書いてもらう。
セカンドオピニオンに必要な資料はセカンドオピニオンを求める病院によって異なります。
- 紹介状(診療情報提供書)
- 主治医による「所見」や「経過情報」が記載された書類です。
- 検査結果書(診断情報)
- 血液検査やレントゲンやCTなどの検査結果で、主治医による「診断情報」を確認するための書類です。
4.セカンドオピニオンを聞く
セカンドオピニオンを求めた理由を伝える。限られた時間を無駄にしないよう、事前に質問事項をメモしておくことをお勧めいたします。
5.元の主治医に報告する
セカンドオピニオンの内容を主治医と一緒に検討し、自分の希望を主治医に伝える。自分の納得した治療方針を決めます。
セカンドオピニオンで心がけたいこと
セカンドオピニオンの結果が出たあとは、主治医伝えるため再受診します。セカンドオピニオンで主治医と同じ診断や治療方針を提示されたとしても、別角度から確認できたということで無駄ではありません。
いつ受けるか
早い時期にセカンドオピニオンをいくつも聞きまわっても、治療の選択ができなければ、治療を先延ばしにしてしまうことになります。現在の担当医の意見をよく理解し、治療の選択をいつまでにした方がよいのか、確認しておきましょう。
病院を変える選択肢
他の病院でなければ納得のいく治療が得られないらならば病院を移るするという選択肢もあります。
誰かにに同行してもらう
できればひとりではなく、信頼できる人に同行してもらいましょう。そうすることで、よりリラックスしてセカンドオピニオンにのぞむことができ、また自分でうまく説明や質問ができない場合には、代わりに説明や質問をしてもらうことができます。
セカンドオピニオンの病院はどう探す?
セカンドオピニオンを依頼する場合には、依頼する病院や医師も自分で探さなければなりません。
主治医に紹介してもらったり、同じ病院の別の診療科に依頼するなどありますが、多くの場合は自分自身で調べて探すことになります。
セカンドオピニオン外来のある病院を探します。がん診療連携拠点病院では、セカンドオピニオンに対する体制が整えられており、必要に応じて地域で連携している医療機関についても紹介しています。
どこで受けるか迷う場合には、がん診療連携拠点病院などに設置されている「がん相談支援センター」で相談することができます。がん相談支援センターでは、お住まいの地域でセカンドオピニオンを聞くことのできる病院や、各病院の専門領域などに関する情報が得られます。
セカンドオピニオンの費用
セカンドオピニオン外来は、基本的に公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)となります。費用は病院によって異なりますので、病院を探す際には、費用についても併せて確認しましょう。
セカンドオピニオンは、病院での扱いとしては「診察」や「治療」にあたるわけではないため、実際には「相談」と解釈されており、医療行為とされていません。
したがって「保険適用」されておらず「全額自己負担」となっているのです。
セカンドオピニオン外来設置病院での基本料金は、30分10,000〜10,500円(25.4%)が最も多く、次いで60分10,000〜10,500円(16.2%)、30分5,000〜5,250円(11.6%)となっているそうです。
病院の選択 まとめ
いかがだったでしょうか?病院や医師の選択で、その後の診療のあり方が左右されてしまうことはあるという話でした。
また、セカンドオピニオンを受ける際の注意をお話しました。限りがあるチャンスのですので、聞きたいことは漏れなくしっかりと聞けるよう、事前にチェックして望みましょう。
今後の医療機関への世話は思ってたよりも多いもの。自分の納得のいく医療機関を選んで病魔との闘いにいどもうではありませんか。
周囲に振り回されることなく自分の考えを持ち、ぜひ納得のいく治療を選んでくださいね。
悔いのない選択をしてくださいね。
参考:東京都福祉保健局