ひと昔前に比べて乳がんになる人って多いですよね。
身近な人で乳がんを経験した人が一人や二人はいるんじゃないですか?
そのくらい多い。
(ちなみに私もその乳がん経験者の中の一人です。)
それもそのはず、最新の統計では、日本人女性の9人に1人が生涯に一度は乳がんを患うと言われています。乳がんは、日本の女性が罹患するがんの中でトップであり、今も増加の一途をたどっています。
日本では乳がんは年々増えている状況ですが、海外ではどうなのでしょうか?
欧州各国のガン患者数を比較したところ、スイス、イタリア、ドイツ、スウェーデンなど富裕な国ほど多く、旧ソ連邦や東欧諸国など貧しい国ほど少ない事が明らかになりました。
乳児死亡率が低く国民総生産(GDP)の高い国の方が、ガン患者数が多いという調査結果になりました。
日本の乳がん経験者は世界的に見れば日本の乳がん羅漢率はかなり低く、欧米諸国の約1/4の低さにとどまっているようです。
日本の乳がん羅漢率は多くなったといえども、世界的に見たらまだ低いようですね。
乳がんの死亡率の比較
一方、死亡率はというと、ちょっと不思議な現象が起こっています。
それは、他の先進国に比べて、日本の乳がん死亡率は上昇していることです。
日々、医学の進歩は進んでいますので、先進国では乳がんの死亡率は上がるのです。米国は乳がんによる死亡率が13年までの20年で36%下がりました。
ですが、日本では逆に33%上昇しています。
乳がんの死亡率の上昇は先進国の中では珍しく、その要因の一つとして早期発見の遅れが考えられます。
乳がん検診の呼びかけが増えて、早期発見が増えていたのだと思っていたのですが、日本の受診率は41%で、先進国の平均受診率61%と比べればまだまだ少ないのが現状です。
これはちょっと意外でした。
乳がん検診は様々な呼びかけで、増えているのだと思っていたのです。
まだまだ足りていなんですね。
新型コロナの影響で、健康診断や定期健診が遅れがちです。
今後ますますこの乳がん死亡率が上がる気がしています。
乳がんの人種的違い
欧米の乳がん率は高いとは言われています。
食生活や生活習慣の違いがあって、単純には比較できませんが、人種的な違いはどうなんだろう?という疑問がありました。
米国在住日系人の乳癌罹患率は日本在住の日本人に比べて明らかに高いというデータがあります。その率はなんと約2.5~3 .5倍も高かったのです。
同じ日本人でありながら米国在住日系人の乳癌罹患率が高くなっていることは環境因子の影響を示唆していると考えられます。
日本に住む日本人では、閉経を境にだんだん乳がんの羅漢率が下がるのですが、ハワイに移住した日本人は欧米並みに、閉経を過ぎても羅漢率が上がる傾向があるそうです。
とはいえ、日系人の値は、白人よりは低い値を示しているので、やはり人種的な感受性の差が存在していることが考えられます。
日本での乳がん地域差は?
乳がんは全国的に見ればさほど羅漢率に差はありませんが、若干、都市部で多い傾向があるようです。
乳がんになりやすい人は、初潮が早い、出産や授乳経験がない、月経期間が長い、未婚、晩婚、アルコールの摂取などの傾向があるそうです。
女性が社会進出して晩婚型になり、出産や授乳経験が少ない、アルコール摂取率も高い、都市部の女性のそんな傾向が乳がんの発生と関係しているといわれています。
地方に住む女性は、初産の年齢が都市部に比べれば低く、出産経験も多めなので、その分、乳がんの発生リスクは少なくなるようです。
日本で乳がんが増加している背景
日本で乳がんが増加している背景に何があるか見ていきたいと思います。
日本で一生のうちに乳がんを経験したことのある人が増えている背景には、食の欧米化や、生活習慣の変化が挙げられます。
そして高齢化もまた一つの要因になっているようです。
「がん」というのは細胞の老化です。
人間を長いことやっていると自分自身の身体の細胞の老化は避けられないことです。
従って歳を重ねるごとに、ガンのリスクは高まるというわけで、それは仕方のない事です。
また、長く生きているということは、病歴もまたたくさんあるということ。
今はガンは治る病気。一度や二度は経験している人がたくさんいるということになります。
乳がんはかかりやすいが、治りやすい
乳がんは「治る病気」になりつつあります。
一生のうちで乳がんになり、治った経験のある人は増えています。
治らない病気だったころはそこで一生が終わっていますので、カウントされないままでした。
ですが、現代では状況がかわり、乳がんサバイバーがたくさんいるという結果になります。
余談ですが、ガンだけなぜ「サバイバー」と言うんでしょうね?
心臓病だって糖尿病だってサバイバルしているので、「心臓病サバイバー」「糖尿病サバイバー」って言ってもおかしくないでしょう。なんか不思議です。
全ガン患者の61%は女性で、女性のガンの中では乳ガンが34%を占めてトップである事が明らかになりました。
一方、死亡率を見ると低くて、全ガンの5位です。
これは、乳ガンの治療が進み、生存率が高くなった事を意味します。
いまや乳がんは治る病気と言われつつあります。
私の周りを見渡すと、ガンを経験して、治ったあとまた別のガンになり、また治ってを繰り返して、今も元気で暮らしてる人がたくさんいます。
昔は不治の病であった病も、ここ数十年の医学の進歩で治る病気になったものが増えています。
おきあがりこぼしのように、何度でも立ち上がっていける現代の医学に感謝です。