新型コロナウィルス感染症の初期症状として皮膚症状があるかもしれない、ということが、ここ最近になってアメリカやフランスで報道され、イタリアからは論文も投稿されています。専門家(皮膚科医)の証言として集まってきているようです。
「皮膚に非常にひどい灼熱感を持っていて燃えているかのよう」あるいは、「電気が走るような、凍傷のような、ときに痛みを伴う発赤、蕁麻疹のような」症状が観察されたそうです。
乳がんや子宮がんなどでリンパ節郭清をした人の副作用として「リンパ浮腫」があります。
リンパ浮腫の人がなりやすいのが「蜂窩織炎」という皮膚症状があるのですが、それと新型コロナで報告されている皮膚症状が似ているのです。
リンパ浮腫の場合の皮膚症状は、ぴりぴりした感覚があり、ぽつぽつと毛穴のように小さい赤い斑点が生じたり、ときに膿を生じることもあり、押すと硬く痛みがあります。そして患部に熱を持ちます。
ただ今回の新型コロナの皮膚症状は別の新型コロナウイルス特有のものなのか、新型コロナによる免疫力の低下による蜂窩織炎なのか、今の段階ではなんとも言えないようです。
まだしっかりした報告はされていませんが、これは私を含め、リンパ浮腫患者にとっては怖い話です。
リンパ浮腫も新型コロナも発熱する
新型コロナウイルス発症の特徴として発熱があります。
蜂窩織炎もまた発熱があります。
いきなりぱーっと38~40℃を超える高熱になり、手足の浮腫のある方に発疹が出ます。
ということは、リンパ浮腫患者が熱を出した場合、新型コロナによる熱なのか、蜂窩織炎による熱なのか、両方なのか、判別がつかないということです。
蜂窩織炎は発熱とともに、赤みのあるポツポツで痛みや腫れを生じ、寒気(悪寒)や関節痛、筋肉痛も伴います。
以前、待合室でご一緒した方がこう話されていたことがありました。
「インフルエンザで寝込んでいて、気が付いたら蜂窩織炎の症状が出ていた」と。
インフルエンザはウイルスで、蜂窩織炎は細菌感染なので違うのですが、どうもインフルエンザと蜂窩織炎は症状が似ているそうです。
インフルエンザかと思ったら蜂窩織炎だった、あるいはインフルエンザと蜂窩織炎を併発していた、なんてことがあるようです。
ということは、新型コロナで免疫力が下がると蜂窩織炎になる、あるいは両方併発するという可能性もあるのではないかと。
そもそもリンパ浮腫になる人は、浮腫側の手(あるいは足)に細菌が入りやすい状況です。健康な人ならリンパ節で細菌を防いでくれるのですが、その機能が正常な人より少ないため、いざ皮膚に入ると全身症状になって表れてしまうことも考えられます。
※蜂窩織炎とは
蜂窩織炎とは皮膚の病気で、蜂巣炎(ほうそうえん)とも呼ばれています。
皮膚とその下にある皮下脂肪にかけて、細菌が入り込んで、感染する皮膚の感染症。 蜂窩織炎になると、皮膚が赤く腫れて、蚊に刺されたような赤い点々が広がり患部を押すと痛みを感じるようになります。
治療は細菌に効く抗菌薬を投与する治療が行われます。
リンパ浮腫は免疫不全の状態であり、そのため、むくんでいる箇所にわずかな細菌が侵入しただけで一気に腕や足全体に広がり、炎症を起こしてしまいます。 この状態を蜂窩織炎(ほうかしきえん)といい、リンパ浮腫の合併症状として最も避けたい症状といえます。
リンパ浮腫患者で発熱や皮膚疾患が出た場合
で、もし、リンパ浮腫患者が発熱したらどうするかです。
新型コロナで発熱なのかリンパ浮腫で発熱なのか悩むと思いますが、とりあえずまずは蜂窩織炎を疑いましょう。
そしてリンパ浮腫の可能性のある手足を確認しましょう。皮膚疾患があれば安静にして患部を冷やしながら医療機関に電話して相談します。
蜂窩織炎の経験がある方なら「これはそうだ」とわかると思いますが、経験のない方はわかりませんよね。主治医、リンパ浮腫専門の医療機関、もしくは皮膚科が良いでしょう。
なんとかなると放置せず、必ず相談してください。
蜂窩織炎はあっというまに悪化します。
新型コロナは発熱が4日続いたら保健所に電話すると厚生労働省の指導にありますが、リンパ浮腫リスクを抱えている方は、はやめに電話した方が良いと思います。
新型コロナの可能性※があると思えたらそのことを必ず伝えます。
医療機関に直接行かないで、保健所などに電話して指示を受けてください。
※流行地に行った、新型コロナ患者と接した、咳や息苦しさ、発熱、味覚・嗅覚異常、3密だったなど。
<まとめ>
まだまだ解明されない新型コロナウイルス。
今回の新型コロナ、リンパ浮腫患者にとっても要注意であることは間違いなさそうです。
今回の皮膚症状の件は、まだ解明されていません。
引き続き情報を待ちたいと思います。
また何かあればこのブログに書きますね。
私を含め、リンパ浮腫の皆さま気を付けましょう。
出典:Coronavirus: les dermatologues alertent sur des signes cutanés