私は全摘手術を6年前に行いました。
その後、乳房再建を行っておらず、今のところとりあえず予定はありません。
手術をまたするのは気が乗らないのと、それなりの気合がないのでなんとなく先回しにしています。
けれども重い腰を上げて、いつか乳房を再建する気になる日が来るかもしれないので、その覚書として乳房再建について調べたことを書いてみたいと思います。
乳房再建の方法
大まかに言って、乳房再建の方法は2種類あります。
それは「自分の身体の一部を切り取って胸に移植する方法」と「人工乳房を胸に挿入する方法」です。
また、どちらか一つのこともありますが、併用することもあります。
ティッシュ・エキスパンダー+人工乳房手術
シリコン製の人工乳房(ブレスト・インプラント)を入れる方法です。
バストの自然な膨らみを作るために皮膚や筋肉を広げるティッシュ・エキスパンダーを使う方法が一般的に行われます。
拡張器を用いれ皮膚を伸ばして人工乳房に入れ替えます。
人工物なので自然な形は作れるものの、シリコーン素材が冷たく感じられるなどの違和感を覚える人もいます。
入院期間
日帰り~1週間程度
費用
ティッシュ・エキスパンダー(皮膚拡張器)の挿入
10~30万円(保険適応)
インプラントの挿入
30万円程度
自分の組織を使う手術
お腹や背中の筋肉と脂肪組織を乳房に移植する方法です。
自分の組織なので触った感触に柔らかさや温かみがあり自然です。
また、インプラントでは表現できない大きめの乳房や下垂した形を表現することも可能です。
欠点としては回復までに時間がかかり、組織をとった部分には傷跡が残ります。
入院期間
10日~2週間程度
費用
30~60万円(保険適応)
乳房再建のタイミング
乳房再建手術を行うタイミングとしては、乳がん手術と同時に行う「一次再建」、そして乳がん手術を終えてから一定の期間を置いてから行う「二次再建」の二種類があります。
さらに1回の手術で完成させる場合“一次一期再建”といいます。
エキスパンダー使用後に完成させる場合“一次二期再建”といいます。
一次再建
一次再建は乳がんの手術と同時に再建術を行うことを言います。
インプラントによる乳房再建
インプラントによる乳房再建では、乳がんの手術時にティッシュ・エキスパンダー(皮膚拡張器)の挿入までを行い、数ヵ月かけて胸の皮膚とその周辺の組織を引き伸ばしてから、シリコン製人工乳房と差し替えます。
自家組織による乳房再建
自家組織による乳房再建では、乳がんの手術と同時に再建を開始することが多いようです。
メリット
- 乳房の喪失感が少ない
- 入院期間が短いので、経済的・身体的負担が少ない
- 一次二期再建では、エキスパンダー挿入中に、再建方法を熟考する時間があります。
デメリット
- 一次一期再建では手術について熟考する時間がありません。
二次再建
二次再建は乳がんの手術後に一定の期間をおいて再建術を行う方法のことを言います。
インプラントによる乳房再建
インプラントによる乳房再建では、最初の手術でティッシュ・エキスパンダー(皮膚拡張器)の挿入を行い、数ヵ月かけて胸の皮膚とその周辺の組織を引き伸ばしてから、シリコン製人工乳房と差し替えます。
自家組織による乳房再建
自家組織による乳房再建では、1回の手術である程度の形成を行うことが多い
メリット
- まず、乳がん治療に専念できます
- 再建手術まで時間的余裕ができます
- 乳がん手術とは別の施設で再建を行うこともできます
デメリット
二次再建はティッシュ・エキスパンダーを挿入し、胸の皮膚と筋肉を引き伸ばした後に再建を完成させるので最低でも2回の手術が行われます。
したがって入院手術費用が増えるのが欠点です。
放射線治療後の乳房再建のリスク
放射線を照射すると皮膚や受けた周辺の組織が弱くなったり伸びにくくなったりするため、皮膚を伸ばす再建(ティッシュ・エキスパンダー・シリコン製人工乳房)を使った再建は難しいので、形の良い乳房に仕上がらないことがありあります。自家組織による乳房再建は行いやすいのですが、放射線照射によって血管が固くなってつなぎにくいため、やはり仕上がりが良くない場合があります。
ただ、放射線療法後、1年以上経過すれば少なくなること、そして乳房のマッサージで皮膚を柔らかくすることで、インプラントでの再建ができる場合もあるので、主治医と良く相談してみましょう。
乳房再建の健康保険の適用と費用
シリコンインプラントを使う「乳房再建手術」には長らく健康保険が適用されませんでした。
乳房再建は片側で100万円といわれていましたが、やっと健康保険の適用になりました! これは朗報です。
2013年に厚生労働省は「乳房再建手術」での使用を条件に一部のティッシュ・エキスパンダーとシリコンインプラントの保険適用を認可しました。
高額医療費の払戻し制度の適用を申請すると、実質的な負担額は9万〜14万円程度となります(所得や年齢、入院期間により異なります)。
以上、ざっくりと説明しました。
乳房再建についてお伝えする情報があれば、また何かあれば書こうと思っています。
お付き合いくださいませ。
出典:
日本乳癌学会ホームページ 乳房再建について
E-BeC(エンパワリング ブレストキャンサー)
札幌ル・トロワビューティクリニック Vogue