最近、誰々が乳がんになったという話を良く耳にします。
実際、日本人の乳がん羅漢率は増えています。
生涯で乳がんにかかる率はなんと14人に1人といいますから、ほとんどの人は自分自身、あるいは友人知人に乳がん経験者がいることでしょう。
日本人に乳がんが増加した背景に、食の欧米化があると言われています。
まずはグラフをご覧ください。
日本人の食生活は変化した
米の消費量が大幅に減り、かわりに急激に増えたのが、牛乳・乳製品の消費量です。
米の消費量といも類が減り、果実、魚介、肉、全ての曲線が上昇しています。
日本人が食べてきた「塩辛い少量のおかず、多めの米」から、「乳製品、パン、ジャムやバター、肉、お菓子」といった欧米式の食事への変化が、悲しいかなグラフは顕著に表しています。
食生活の変化で病気も変化
このグラフに重ねてみたいのが次のグラフです。
これは病気の増加率なのですが、乳がん、大腸がん、糖尿病、コレステロールがかなりの勢いで増加しています。
一方、米の消費の消費の減少と、脳出血の減少は完全に一致していて、1960年を境に急激にどちらも下がっています。
塩辛いおかずを食べなくなったおかげで、脳出血は減りましたが、かわりに乳がん、大腸がん、糖尿病、コレステロールが増えてしまいました。
食べ物は直接、私達の身体に跳ね返ってくるのですね。
もちろん、食べ物以外に環境ホルモンや生活習慣などの問題も影響していると思いますが、食べ物が関係ないとは言い切れません。
肉が好き・甘いもの好き・こってり好きな食生活
最近はデリバリーなどで色々なものを注文できるようになりましたが、メニューのラインナップを見ると、肉系や脂っこい食べ物ばかりが目につきます。
日本人って、こんなに肉が好きでしたっけ?
さらに思うのは、なんとこってりしたものが多いことかということ。
日本人って、こってり好きでしたっけ?
日本人の食べ物の誉め言葉に「あっさりして美味しい」というのがあります。
あっさりしたものの方が、こってりしたものよりも上だったんですが、最近は変化してきたなぁと思います。
そして、甘いものにも思います。
スイーツ、スイーツって言いますけど、日本人ってこんなに甘党でしたっけ?
私(50歳代)が子供のころはこんなに甘いものの市民権はなかったと思います。子供のころ、ケーキを食べられるのはお客様がみえたときと、クリスマスくらいなものでしたので随分変わりました。
食生活はパン食へ変化
新型コロナの騒ぎで、日本のスーパーからも小麦やパスタが消えました。今現在は戻ってきているようですが、しばらくスーパーの陳列棚は空っぽの状態が続きました。
自粛中、パンや洋菓子を自宅で作る人が増えているからだそうです。
パンや洋菓子は、作るときに砂糖やバターなどの脂を使いますし、さらに食べる際にもバターやジャムなどをプラスします。
これでさらにコレステロールと糖質がプラスしてしまいます。
一方、ご飯はなにも展化することなく単体で炊けますし、極端な話、塩おにぎりだけでも食べられてしまうすごい主食です。
米はでんぷんの他、タンパク質や脂肪、ビタミンB1やビタミンE
ご飯とおかずの献立は優れていて、どんなおかずでも組み合わせることができる「ご飯」という優秀な主食。
けれど、年々コメ消費量が減り続けています。
欧米式の食事が不健康を招くとずいぶん前からいわれているのに、それを続けているどころかますます度を上げています。
その理由はなんだろうな?とずっと思っていたのです。
その一つの答えが奥田昌子さんというお医者さんの「日本人の病気と食の歴史」がヒントになりました。
日本人がご飯食を軽視し、パン食になっていった経緯のひとつとして「学校給食」に触れられています。
戦後の学校給食は、アメリカでだぶついていた小麦粉を大量に輸入させる思惑がありました。政治的、軍事的な戦略の一つでとしてとられた「外圧」ではじまりました。
昭和39(1964)年に、アメリカのある上院議員が、「学校給食でアメリカのミルクやパンを好きになった子どもたちが成長し、日本はアメリカ農産物の最大の顧客になった」と述べた話があります。
学校給食についても、「米以外の食品を主食として提供すれば、日本人の食生活を簡単に改善できる」として、アメリカがパン給食を続けるよう促したという話があると奥田先生は書いています。
その後、「給食の主食にごはんを!」の声はあっても学校給食制度上に米飯の正式導入は、昭和51年まで待たなくてはなりませんでした。
日本の嗜好が欧米型に変化したきっかけは、ずばり「学校給食」であると思います。
食生活の思い込みと偏見
- 欧米型の食生活の方が優れている。
- 日本のご飯はつまらない。まずしい。
- 外国のめずらしい食べ物対するあこがれ。
- 米食は太る。
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、当の日本人が抱く和食への思い込みと偏見は今も続いているような気がします。
刷り込まれているものは、なかなか変えることができないようです。
「ご飯は嫌いパンの方が好き」という日本人がいるなんて、ちょっと前は信じられませんでしたが、最近はちょくちょく耳にします。
朝食でパンを食べ、給食でパンを食べ、夕食でやっとご飯を食べる。
そんな子供が大人になったのが今です。
結果、食の欧米化への導きとなり、脳出血の患者は減らしましたが、替わりとして乳がん、大腸がん、糖尿病、高コレステロールになる人を増やしました。
けれど希望が持てるのは、学校給食はご飯食に戻り、郷土料理だったり色々な国の料理だったり、バリエーション豊富になったと聞きます。
今の子供達が大人になったとき、日本の食事はどう変化していくのでしょうか。
そして日本人の病気はどう変化していくのでしょうか。
参考:奥田昌子著. 日本人の病気と食の歴史
出典:「ご飯とパンの決定的な違い」 | 幻冬舎ゴールドオンライン
NTTコム リサーチ 食の変化と乱れ